会社を辞めたい。
そう自覚してから、実際に退職届を出すまで、自分は1年以上もの時間を費やしました。
会社に辞めれない空気があって遅れたわけじゃなく。
ただただ、動けなかったんです。
精神的にすり減って、布団に入っても職場のことが頭から離れない。寝不足のまま仕事に行く負のループ。
そんな限界ギリギリの状態だったにもかかわらず、なぜ1年も足踏みをしてしまったのか。
今回は、元記者が退職直前に陥っていた思考停止状態と、当時の自分が抱えていた、言葉にできない怖さの正体について振り返ってみます。
次を探す気力が残っていなかった
転職活動のセオリーに、「次を決めてから辞めるべき」という言葉がありますよね。
生活の安定を考えれば、それはぐうの音も出ない正論ですよ。
けれど、当時の自分には、働きながら次を探すだけの「気力」が残ってませんでした。
1日中気を張り詰め、ストレスを抱えて帰宅すると、もう何も考えたくない状態になります。
パソコンを開いて求人サイトを眺めても、画面の文字が頭に入ってこない。自己分析や企業研究なんて、とてもできる状態ではありません。
今日は疲れているから、また明日やろう。そうやってお酒を飲んで現実逃避し、少ない娯楽の時間で心を騙す。
その繰り返しで、気づけば季節が変わっていました。
今思えば、脳が防衛本能で思考を停止させて、自分を守っていたのかもしれません。
正常な判断力を奪われるほど心が消耗していては、現状を変えるためのエネルギーなんて、湧いてくるはずもない。こんな状況にいる人も少なくないんじゃないでしょうか。
何をやりたいか分からなかった
もう一つの大きな理由は、自分が何をやりたいのか、分からなくなっていたことです。
9年間、新聞記者という仕事しかしてきませんでした。
いざその肩書きを下ろそうとした時、自分には何ができるのか、何に興味があるのか、全く見当がつかなくなっていました。
営業職?メンタルをやられている人間が数字を追いかけるの?
じゃあ、未経験の業種に挑戦すべき?
それとも、書くスキルを活かせる場所を探すべき?
考えれば考えるほど、よく分からない。求人を見ても心に響かない。
自分のやりたいことが分からないまま、勢いだけで次の職を選ぶのは恐怖がありました。
それが、辛い現状維持を選ばせていました。
自己分析をすればするほど、自分という人間が分からなくなる。そんな迷路の中で、ただ時間だけが過ぎていきました。
キャリアと年齢の呪縛
そして、決断を最も遅らせたのが、過去への執着と年齢への不安でした。
積み上げてきた9年間のキャリア。
会社を辞めるということは、それをすべてリセットするように感じていました。
「もったいないなあ」「今まで何のために頑張ってきたんだろう」という思いが、足を引っ張っていました。
さらに、30代という年齢。
求人サイトを見ても、「35歳以下」といった年齢制限の壁が目に入ります。
転職するなら、これが最後かもしれない。次は失敗できない。
そんなプレッシャーが、臆病な自分をさらに萎縮させました。
ここを出て、本当にやっていけるのか。失敗して、今よりも悪い状況にならないか。
未来の希望より、失敗への恐怖が勝ってしまった。結果として1年以上も、辞めたい場所に留まり続けることになりました。
終わりに
結局、退職届を出せたのは、心身ともに限界を超えて、「このままでは壊れる・・」と本能的に悟った時でした。
1年という時間は、あまりにも長く、苦しいものです。
もっと早く決断していれば、違ったことに時間が使えて、違う景色が見えていたかもしれません。
ですが、あの苦しんだ時間も、けっして無駄ではなかったと思っています。その経験があったからこそ、社会の現実を知ることもできましたし、メンタル・健康に対する価値観を変えることもできました。
もし今、同じように動けずにいる人がいたとしても、自分を責めないでくださいね。
まずは自分を守ること。
それが、何よりも優先されるべき正解だと、今なら心から思えます。


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